勇気の練習

気がつけばNY市でステイホーム生活が始まってから1年が過ぎました。あっという間だったような、もうずっとこの生活を続けているような、おかしな気持ちです。

ロックダウンになってから様々なイベントやワークショップがZoomで行われるようになりました。私も最近、クラウンのセッションとソロパフォーマンスを書くワークショップに参加しています。

私は大学院でルコック演劇を勉強したので、創作する時にはまず即興をしてアイディアを忘れないためにメモ書きするというプロセスに慣れているのですが、まず「台本」を書くというところから始めるのは初めての経験です。パンデミックがなかったらこのワークショップが開催されることも私が受講することもなかったのかもと思うと、イレギュラーな生活も新しいことに挑戦する機会が得られたという点では悪いことばかりでもないなと思います。

このライティングの先生はいろいろと面白いことを言ってくれるのですが、その中の一つに「発表の時、率先して手を挙げる度に、私達は勇気の練習をしているんだよ」というのがありました。

コンサーバトリーで演技の勉強をしていた頃、「上手くできるか自信がない」「怖いからやりたくない」時こそ敢えて立ち上がって発表しようと心がけていたことを思い出します。そんな時こそ成長のチャンスであったり、やってみたら意外と上手くいったり、失敗したとしてもそこまで怖くはない、ということを少しずつ学んでいったからです。

私はクラスやワークショップという「安全な」環境でその勇気を出す練習はだいぶしてきたのですが、オーディションや創作したものをフェスティバルに応募したりする勇気には、まだまだたくさんの練習が必要なようです。やはり後者はジャッジされる環境だというのも大きいと思います。

ルーシッド・ボディの大切な基本の一つがノン・ジャッジメンタル・マインドですが、事あるごとに、突き詰めればこれが一番大切で一番難しいのだと実感しています。

子どもが生まれてからアーティストとして発信することからはしばらく遠ざかっていましたが、せっかくコロナで新しいことに気軽に挑戦できる環境が生まれたのだから、これを機に少しずつそちらの勇気も実践していきたいと思っています。